キュルテペ型偶像(紀元前2300-2000年 アナトリア-北メソポタミア)

材質: 玄武岩

寸法: 高さ 27 幅 12.5cm

同じく青銅器時代アナトリアの幾何学偶像の一つ。

矢印形の2つの偶像を持つ円盤状偶像は、古代都市キュルテペ(トルコの中心に位置)で発掘されています。カッパドキアンアイドル(石黒コレクション『古く美しきもの』参照)と言われるキュルテペ型偶像自体とても希少ですが、本品はそこからさらに首と頭がついているタイプ。

中の二つの偶像は母と子あるいは妊娠を連想させると同時に、全体像が男性器を象徴していることから、2つの睾丸であり、矢印もやはり男性器であるとも考えられます。強調された男性器、妊娠、両性具有が複雑に組み込まれた表現は、豊穣を司る偶像としての説得力があります。

アナトリアの石偶類がメソポタミア由来の可能性があることを先ほどのトロイ型偶像で触れましたが、キュルテペにはアッシリア帝国の商業植民地がありました。本品が発掘されたのはイラクと言われていて、その関連性を裏付けています。眼の表現は、メソポタミアの「眼の偶像」の影響を受けているのでは、という解釈もあるようです。