ストリギル / ストレンギス(1-2世紀 ローマ)
材質: 銀
サイズ: 渡り 25 cm
アスリートの体に付着した砂や垢を掻き落とすヘラ。香油壜(アリュバロス)とともに、競技者の清潔を保つために必要不可欠な道具でした。競技者だけでなく、浴場で女性にも使われていたようです。
道具といえどこの曲線を見ると、さすがはギリシア人が考案したものと感心します。全裸の男がストリギルだけを持って立つ姿は人の心を捉えたことでしょう。大きな彫像(優勝者を写したもの)やギリシア陶器にその様子が遺されています。石棺にもストリギル模様が使われるほど、アスリートを象徴する道具でした。
海上がりのため礁が付着しています。点描によって把手に蔦の葉、鉤爪部分に植物紋が描かれています。ストリギルの中でも素材・形状・装飾・コンディション、全てにおいて稀なアイテムです。
黄味がかっているので青銅なのではと思いましたが、銀が海水で変質したものということでしたので、専門家の鑑定を尊重します。確かに他の青銅の例とはかなり印象が異なります。