アヒル形分銅護符(紀元前2000年紀 メソポタミア)
材質: 瑪瑙
サイズ: 高さ 2.4 cm
通称スリーピングダックと呼ばれる分銅は紀元前2000年-前1000年頃、メソポタミア(古〜中期バビロニア)および地中海東岸地域で商業に使われました。ヘマタイト(赤鉄鉱)製が一般的で、瑪瑙・水晶・カーネリアン・ラピスラズリなどの半貴石でも作られました。本品はオニキス(瑪瑙の一種)の分銅を装飾品にしたものですが、孔を開ける前は8g=1シェケル(小麦180粒分)の分銅だったと思われます。このような例は珍しく、孔の周りの傷から他の石製ビーズと連ねて着用されていた様子が伺えます。全体に円形の小さな傷がついているのも興味深いです。孔を開けたことで分銅としての役目は終えていたはずなので、呪術的な意味があったのでしょうか。
先日、故ヨーガン・レールさんのプライベート瑪瑙コレクションを見せていただく機会がありました。インドの河原に通って拾い集めたものだそうですが、川に流されて転がり、丸くなった岩石に多種多様の縞状模様が出ている様子は、実に有機的なものに見えました。
古代の人々も同様にその不思議な模様に超常的な力を感じたことでしょう。