エンコルピオン(10-11世紀 ビザンツ)

材質: 青銅

サイズ: 高さ 11 幅 5.5cm

聖遺物十字架は、ビザンチン帝国とその後の正教会文化で聖遺物(聖人の骨や身体の一部)を入れるのに使われました。 線刻のものを今までにいくつかご紹介しましたが、本品は線刻に加えて立体的に鋳造されています。

表側は磔刑のキリストと両側に聖ヨハネ、聖母マリアが描かれています。キリストはコロビウムという袖なしの衣を身につけています。頭上に月と太陽、腕の下にIC XC(イエス・ハリストス)の文字。裏側は聖母マリアが手を挙げたオランス(祈りのポーズ)で立っています。上下左右に4人の福音書記者マルコ、マタイ、ルカ、ヨハネがイニシャルと共に描かれています。いたってシンプルな線で描かれていますが、それぞれの衣服の違いが表現されています。福音書記者が持っているゴスペル(福音書)にも指が描かれているのも芸が細かいです。

白い背景の参考画像はメトロポリタン美術館所蔵品。これと比べても遜色なく、より様式化した図像で状態もよいです。青銅の聖遺物十字架としては最高ランクと言っても差し支えないと思います。