イシス・セラピス指輪(1-4世紀 エジプト)

材質: 青銅

サイズ: 高さ 2 cm

イシス(左)とセラピス(右)が象られた指輪。

セラピスは興味深い政治的背景を持った神です。グレコーエジプト期(紀元前3世紀頃)にプトレマイオス1世がギリシアとエジプトを統合する手段として、エジプトのオシリス神とギリシアのゼウス神と習合したのがセラピス神。本来オシリス神の妻であるイシス神をセラピス(ゼウス)の妻として描くことでエジプトの民の信仰をギリシア化しました。言い換えれば神を政略結婚させたと言えるかも知れません。この指輪はプトレマイオス朝に引き続くローマ期の作で、頭にかぶったカラトス(豊穣のシンボルである器)など細部までよく保存されています。扁平に歪んでいるため、指輪としては着用できません。