球を持つ手(1-3世紀 ローマ)

材質: 青銅

サイズ: 高さ 7.7 cm

都市毎に異なる暦を使っていた時代、4年に1度全ギリシアのアスリートが都市の威信をかけて参加するオリンピックは共通の暦でした。「イポニア島のケガイウスが3度目の勝利を得たオリンピックの年」というような表記の文字資料が残っているそうです。競技会の優勝者には神域に自身の青銅像を奉納することが許されたため、かつては神殿に数多くの青銅像があったはずですが、溶かして武器などに再利用されるため、現代まで残っているものはほとんどありません。

砲丸投げは近代になって作られた競技ですが、石の投擲は古代オリンピック競技にもあったと思われます。この手は実物大よりも小さいですが、全身1mほどの十分に大きな像の残欠。手が上を向いていたかどうかは定かではありませんが、天から稲妻が落ちたように割れ目が入っているところが印象的です。手の甲は失われています。