赤像式陶器片(紀元前5世紀後期 ギリシア)

材質: テラコッタ

サイズ: 高さ 15.2 幅 11.5cm

大きめな赤像式陶器の破片。ギリシア陶器としては評価が最も高いアッティカで製作されたもの。描かれているのは驚いて両手を挙げた娘です。数多くの図像を調べた結果、おそらくアミュモーネーもしくその姉妹がポセイドンに助けられる場面を描いた場面であることがわかりました。類品にはエルミタージュ美術館のクラテル(混酒器)があります。上部が外側に開いている形状からして本品も同じくクラテルの破片です。4つの破片から復元されています。

アルゴスの守護権をへーラーと争っていたポセイドンは、ヘーラーに軍配をあがったことに腹を立て、アルゴリス地方に旱魃を起こしました。アルゴスの王ダナオスは娘達に水を汲みに行かせましたが、そのひとりのアミュモーネーが鹿を発見し槍を投げたところ、眠っていたサテュロスにあたってしまい、欲情しておそいかかって来ました。助けをもとめるとポセイドンが現れ、三叉の槍を投げてサテュロスを追い払いました。その槍が刺さったところから湧き出したのがレルネーの泉で、ヘラクレスの十二の難行でヒュドラ退治の舞台となったように話がつながっています。