イコン「生神女就寝(聖母被昇天)」(19世紀 ロシア)
材質: 木・テンペラ
寸法: 高さ 31 幅 26.5cm
本日8/15は正教会の12大祭の一つである生神女就寝祭(カトリックの聖母被昇天)です。世界各地の教会では祭日の儀礼が行われている事でしょう。
中央に横たわる聖母の背後にはマンドルラ(光背)の中に立つイエスが描かれ、その手に抱かれた幼子は聖母マリアの清らかな霊を表しています。聖母マリアが永遠の世界へと旅立つ様子を表すと同時に、大天使ガブリエルとミカエル、福音書記者達が一堂に会する奇跡の場面(3日後にイエスの元に向かうことになると大天使ガブリエルから知らせを受けた聖母マリアが、遠方にいる福音書記者達には最後に会うことが叶わないことを知り、祈りを捧げたところ、天使たちが4人をエルサレムに連れてきた)として描かれます。左前方で香炉を焚いているのは聖ペテロ、聖母の右奥手で覗き込んでいるのがおそらく聖ヨハネ。
生神女就寝の構図は9世紀頃に描かれるようになったと言われていますが、当初は少人数のみ描かれていたそうで、13世紀頃から数多くの聖人たちと描かれるようになり、今日に至るようです。
表側の縁は段差は方舟(箱)と呼ばれ、現世と聖人たちの世界を隔てる窓となっています。かすれていてほとんど読めませんが、裏面には異なる字体の文字が刻まれており、このイコンが多くの人の手を渡って伝えられて来たことが伺えます。