アンフォラ把手(紀元前3-2世紀頃 ギリシア)

材質: テラコッタ

サイズ: 高さ 4 幅 9cm

主にワインなどが入れられていた輸送用の大型アンフォラは、ヘレニズム期の商業取引において、産地、行政官、製造年月、生産者などがスタンプで把手に押印されていました。本品は槍を持った騎馬兵とΝΟΜΟΥ/ΜΕΔΟΝΤΟΣ(支配者の)/ΓΙΔΗΜΟΥの文字が確認できます。

大英博物館のスタンプ付き把手のデータベース4000点ほど当たりましたが、うちロドス島産のものが3000点ほど。字体とスタンプのサイズから、ロドス島あるいは小アジアということは間違いなさそうですが、本品のように騎馬像が付いているものはありませんでした。おそらく特定の都市あるいは行政官を示してるものと思われます。

本品が発掘されたのはレバノン。エジプトやギリシャ本土各地でもロドス島のアンフォラ把手が見つかっており、広域で取引が行われていたことを示す貴重な文字資料です。同じような大きさの把手破片だけが大量に見つかっていることから、スタンプのついた部分だけを壊して回収し、商業記録としたのではないかと想像します。

参考写真は商船に積載されたアンフォラ模型と大英博物館所蔵品。