ガニュメデスの誘拐(1-2世紀 ローマ)

材質: 骨あるいは角

サイズ: 高さ 8.3 cm

トロイアの美少年ガニュメーデス。その美しさに恋をしたゼウスが鷲の姿になって誘拐し、永遠の若さと不死を与えたというギリシア神話は、古代・中世の芸術家たちの心を捉え、作品に取り入れられました。

古代の小さな骨の彫像は、技術や強度の都合上、腕などがぴったり体と一体化していたり、細部の表現が簡略化されるのが一般的ですが、本像は腕・足元・鷲の足元に隙間が空いているなど、作者の優れた彫刻表現技術が伺えます。

写真では伝わりにくいですが、バレエの4番のポジションのように足を交差してつま先で立っている姿、通常この題材で使われることのないヘラクレスの棍棒(おそらく天界の給仕へーベーがヘラクレスの妻となったことによりその後任にガニュメデスが選ばれた事を関連付けている)を支柱に加えている点から作者の独創性を感じさせます。

鷲の嘴、土台部分にわずかな欠けはありますが、そのほかに欠損や補習はありません。題材、素材、コンディションの観点で極々希少品です。参考写真は大英博物館のローマ大理石像。